恥ずかしかった父のハゲ

はじめまして、こんにちは!
思い起こせば去年亡くなった父は、私が物心ついた時には、すでに広い「おでこ」をしていたように
思います。
写真で見てもやっぱり広い「おでこ」をしているので、俗に言う若ハゲだったのだと思います。
小さい頃は、多分そんな父を見ても何とも思わなかったのでしょうけれど、小学校へ上がってからは
父親参観日の日に父が学校へ来ることがとてもイヤだった思い出があります。
他のお父さんは、髪の毛が黒々としているのにウチの父だけ「ハゲ」ていたので、小さいながらも他
のお父さんとは何か違うと思っていたのでしょう。

外見は「ハゲ」ていたけれど、とても優しい父でした。
だからずっと父のことは大好きでした。思春期の頃になると父の髪の毛も益々後退して、ついには
鉄腕アトムに出てくる「お茶の水博士」のような状態に・・・。
気がつくといつの間にか洗面所に育毛剤のような化粧品が並んでいたので、きっと父なりに気にして努力していたのだと思います。
そんな状態になってから努力しても遅いんじゃないの?と私は密かに思っていましたが・・・。
「ハゲ」てる本人は、とても気になっていたのですね。
私が成長するにつれて、一緒に行動することも少なくなり、私は父に対して余り関心がなくなった
ので「ハゲている父」に対しても特別な思い出はなかったのですが、ある時「大変なことになった」と
思ったのでした。

それは私の結婚が決まったからです。
その時の父は「お茶の水博士」どころではなく、ほとんど無いに等しい寂しい髪の毛でした。
何本かある髪の毛を少しでもあるように見せる「ハゲの技」いわゆるバーコードにしていたのです。
私は初めて「ハゲている父とバージンロードを歩きたくない!」と思いました。
そんな父を彼の親戚の方々や私達の友達に見られたくなかったのです。
うれしくて待ち遠しいはずの結婚式が人生で最も憂鬱な日になりました。
そんな私の気持ちは誰にも言えずに結婚式の日は近づいてきていました。
とうとう結婚式の前日になって、私の気持ちが爆発してしまい「バーコードのお父さんはイヤ!せめて
全部剃ってきて!」と言ってしまったのです。
その時のびっくりした父の顔を今でも忘れることはありません。

そして当日、つるつる頭になった父とバージンロードを歩きました。
歩きながら「つるつる頭はイヤだけど、バーコード頭よりはまだマシ」と少し、ホッとしながらそう思い
ました。
ところが友達がみんな私の父の事を「ステキなお父さんね」と言うではありませんか。
思わず私が「こんなにハゲているのに?」と言うと「何言ってるの。ハゲは男の勲章よ。外見じゃない
よ。」とみんなに言われびっくりしました。
後日、母から「全部剃ってきて」と言われ床屋さんへ行くお父さんの姿がとっても寂しそうだったよ。と
聞かされ、父に対して本当に申し訳ない事を言ってしまったと反省したのは言うまでもありません。
今は「ハゲは男の勲章。外見じゃない。」と心から思えるようになりました。
「お父さん、あの時はゴメンネ」